おはようございます。この記事は予約投稿です。
私の作った物語『こでねりまわりの物語』その8です。
このお話はフィクションであり、登場する人物、団体、企業、事件等は
実在のものとは一切関係ありません
樹廊臣物語メルヘンシリーズ
こでねりまわりの物語
その8「自分を責めちゃダメマン登場」
バスで涼海県有川市のオータムビレッジという集落へやってきたこでなずさんとねりくんと鎌霧くん。こでなずさんは森むすめの衣装で。ねりくんは妖精の衣装で。鎌霧くんはかわいい立ち襟ワンピース姿でやってきました。
「へー。ここがオータムビレッジかあ。きれいな村だね。」と、鎌霧くん。
「ねー、きれいなところでせう。」と、こでなずさん。オータムビレッジ分校口バス停で待ち合わせるはずのターラくんとヤナさんはまだ来ていません。
「あれ?面白い形の変な花が有るよ。」鎌霧くんは変な形の花を見つけました。何か毒々しい赤紫色の花でした。
「変な形の花。」ねりくんも言いました。
「どんな香りがするのかな?」と、鎌霧くん。
「匂いを嗅いでみよう。」鎌霧くんはその変な花の香りを嗅いでしまいました。すると、
「!」
「鎌ちゃん、どうしたん?」と、ねりくん。鎌霧くんの様子が変です。
「鎌霧くんどうしたん?」こでなずさんも聞きました。鎌霧くんは、
「なにかこう、すごい罪悪感が……。何かものすごく悪いことをしているような気がしてきた。」と、言いました。
「お待たせ。」そこへターラくんとヤナさんが到着しました。
「?!ワンピース姿の男の娘?彼が、この前言っていた……。」と、ターラくん。こでなずさんは、
「そうです。彼がこの前言っていた鎌霧くんです。」と、言いました。ねりくんは、
「だけど、なんか様子が変なんです。この花の香りを嗅いでから。」と、言いました。ヤナさんは、
「マア!またこの花!」と、言って変な形の花を引っこ抜き、
「ポキリ。」と、おっぽしょりました。ターラくんは、
「この花は、『ジブンキーキー』の花と言って、この花の匂いを嗅ぐと、自分を責めてしまうんだ。」と、解説しました。鎌霧くんは、
「私は、なんてことをしてしまったのかしら……。私は悪い奴だ!」とか言っています。
「スタッ。」そこへ一人の天使の女の子が降り立ちました。
「私はナターシュ。自分を責めちゃダメー!」と、女の子が言いました。ターラくんは、
「わ、出た。『自分を責めちゃダメマン』と、言いました。」こでなずさんは、
「こちらの天使さん、どなた?」と、ターラくんに尋ねました。ターラくんは、
「俺の姉。ナターシュって言って、高校1年生の天使。通称『自分を責めちゃダメマン。』」と、説明しましました。
「自分を責めちゃダメマン?」こでなずさんとねりくんは同時に聞き返しました。ターラくんは、
「ナターシュは自分を責めている人を見るのが我慢できないんだ。」と、言いました。ナターシュさんは、
「自分を責めないで!」と、鎌霧くんの肩をつかんで言っています。鎌霧くんは涙をぽろぽろこぼしています。ねりくんは、
「鎌ちゃんが変だ!」と、言いました。ヤナさんは、
「ジブンキーキーの花のせいね。」と、言いました。ねりくんは、
「どうすれば鎌ちゃんは元に戻るん?」と、聞きました。ターラくんは、
「その内に戻るんじゃない?戻し方はよく分からない。」と、言いました。ナターシュさんは、
「そんな悠長(ゆうちょう)なこと言っていてはいけません!自分を責めるとおなかも壊して体に悪いんです!だから、自分を責めちゃダメー!私はこの子を『自分を責めないように』説得します。」と、言いました。
ナターシュさんは、そばに咲いていたナデシコの花↓を指さし、
「この花を見て。きれいでしょ。」と、鎌霧くんに言いました。
「うん、きれいですね。」と、鎌霧くんは言いました。ナターシュさんは、
「花をきれいと思うのなら良かった。実は、花がきれいなのではなく、花をきれいだと思うあなたの心がきれいなのです。花はきれいなのでも何でもないのです。」と、言いました。鎌霧くんは、
「???なんだかよく分からないこと言いだしたぞ。花はきれいでも何でもなくて花をきれいだと思う心が……?なんだか分からないんですけど。」と、言いました。ナターシュさんは、
「だから、『花がきれいなのではなくて花をきれいだと思う心がきれい。』なのです。」と、言いました。鎌霧くんも他の4人もナターシュさんが何を言っているのかわけが分かりません。鎌霧くんは、
「充分この花きれいじゃないですか。」と、言いました。ナターシュさんは、
「そう思うあなたの心がきれいなのです。心がきれいなのだから、自分を責めてはいけません。」と、鎌霧くんに言いました。鎌霧くんは、
「言ってることがよく分からないんですけど~。」と、言いました。ナターシュさんは、
「だからとにかく自分を責めちゃダメー!」と、言いました。鎌霧くんは、
「そうだ忘れていた。私は自分を責めている途中だったんだ。」と、言いました。ナターシュさんは、
「もう!こうなったら最後の手段!」
「チュッ!」ナターシュさんは鎌霧くんのほっぺにキスをしました。
「ブブーッ!」豪快に鼻血を出す鎌霧くん。でも……。
「あれ?私、何をしていたのかしら?」と、元に戻りました。天使のナターシュさんの魔法のキスは自分を責めなくさせる作用があるのです。
「???」なんだかわけが分からなくなっている鎌霧くんにこでなずさんが、
「鎌霧くん、変な花の香りを嗅いで変になっていたの。それをこちらの天使さんが直してくださったの。」と、説明しました。
「元に戻ったところでお友達になりましょう。……あの、失礼なこと聞いて良い?鎌霧くんだよね。あなた、男の子?女の子?」ナターシュさんは鎌霧くんに聞きました。鎌霧くんは、
「男ですよ。女装するのが大好きなんですよ。」と、答えました。ナターシュさんは、
「そうなの。ワンピース姿が不釣り合いだからびっくりしちゃった。」と、言いました。すると鎌霧くんは、
「そうですか。私、変でしょ。」と、言いました。ナターシュさんは、
「自分で自分のことを『変』だなんて!自分を責めちゃダメー!」と、言いました。鎌霧くんは、
「???いえ、あのー。別に自分を責めているわけではないんですけどー。」と、言っていました。
「へー。鎌霧くん、バイオリン弾くんだ。ワンピース姿もよく見るとかわいいね。」ヤナさんは言いました。鎌霧くんは、
「じゃあ、バイオリン弾いてみましょ。」と、バイオリンを取り出しました。鎌霧くんのバイオリンの音はきれいな音楽を奏(かな)でました。
「きれいな曲。鎌霧くんってすてき!」ナターシュさんは言いました。鎌霧くんは、
「褒めてくれてありがとう。」と、言いました。
さて、ねりくんがこの村で気になっていることを言いました。
「気まぐれショップってさあ、今日は何を売っているん?この前来たときはリカちゃん人形を売っていたよね。」と、聞くねりくん。ターラくんは、
「じゃあ、気まぐれショップに見に行こう。」と、言いました。
「いらっしゃいいらっしゃい。今日はテレビのリモコンを売っているよ。」気まぐれショップの店主さんは言いました。そして、鎌霧くんを見て、
「???女装してる男の子かい?」と、言いました。ねりくんは、
「……そうなんです。あんまり気にしないでください。」と、言いました。すると鎌霧くんは、
「私のワンピース姿、かわいいでせう!」と、くるりと回りました。その姿はなんかかわいくて、本当の少女のようでした。
ナターシュさん、ターラくん、ヤナさん、こでなずさん、ねりくん、鎌霧くんの6人はオータムビレッジ中を回ってみました。鎌霧くんは、
「素敵な村ね。なんか気に入った。」と、言いました。
そろそろ帰りのバスの時刻がやってきました。
「鎌霧くんともお友達になることができてうれしいよ。今度は桃畑に桃狩りに来ると良いよ。」ターラくんは言いました。そしてバスが去ると、ナターシュさんは、
「鎌霧くんって、面白い子だったね。」と言っていました。一方バスの中では鎌霧くんが、
「ナターシュさんって、おもしろいおねえさんだったね。」と、言っていました。
その8おわり その9につづきます
次回の「物語」は7月7日の発表予定です