2018年09月13日

小説『中学生も色々と』その441

 おはようございます。この記事は予約投稿です。

本日の更新はこの『小説』だけです。

 私の作った小説『中学生も色々と』第441話(その441)です。
このお話はフィクションであり、登場する人物、団体、企業、事件等は
実在のものとは一切関係ありません。
また、このお話に出てくる「25時間テレビ」は架空のものであり、
24時間テレビや日本テレビとは一切関係ありません。


樹廊臣物語中学生シリーズ

                     中学生も色々と
書き下ろし新作話です
        その441「ねりくんとひな乃ちゃんとディスカッション」

 TTCV25時間テレビです。感動させることが出来ないまま、再び25時間テレビ登山&マラソンランナーのスッテーン掛山は走り出しました。このマラソン、「25時間で何㎞走ることが出来るか?」というものです。今までの25時間テレビの経過、特別おもしろいわけでも感動できるわけでもなく、
「内容が無いよう。」と、言った状態です。
 しかし、その時です。
「これからのコーナー、ぜひ君達出てくれ!」と、TTCVスタッフに捕まるねりくんとひな乃ちゃん。先程の小屋のセットに入れられます。
「?!」と、一人残されたからちゃん。何がなんだか分かりません。
「また一般人を拉致して何の用?!」と、ひな乃ちゃん。
「俺達何もしてないでしょうが!」と、ねりくん。TTCVスタッフは、
「ぜひ君達とディスカッションをしたいんだ!君達を怒るわけじゃないから!」と、言いました。ねりくんは、
「ディスカッションって何?」と、言いました。ひな乃ちゃんは、
「ある一つのテーマについて討論することよ。一種の話し合いみたいなものよ。」と、言いました。ねりくんは、
「まさかそれって、『感動』について討論?」と、言いました。TTCVスタッフは、
「その通り!感動についてディスカッションをはじめよう!」と、言いました。すると読舌アナが入ってきました。
「これから君達と感動について話し合いましょう!」と言う読舌アナ。
「さっきは人のこと放り出しておいて。」と、ひな乃ちゃん。
「俺達を放送するんじゃないですよね?」と、ねりくん。読舌アナは、
「放送するわけ無いじゃないか。ただ、君達と『感動』についてディスカッションをしたいだけだよ。」と、言いました。しかしこれもしっかり放送されていました。なので、
「またねりくんとひな乃ちゃんが出てるー!」と、苑中で騒ぎになっているのでした。テレビ画面にはまた「これはドッキリテレビであり、この放送は出演者の了承を得て放送されております」という字幕が出ていました。テレビジョン前のこでなずさんは、
「これ、絶対ねりくんとひなちゃんの了承得てないよね!」と、言いました。ズバリその通りです。ねりくんとひな乃ちゃんの許可を得ずに無理矢理放送されています。その画面には、「第2回TTCV25時間テレビ。感動しない妖精と生討論テレビ!!」という表示字幕も出ていました。強引なTTCVです。
 とにかく読舌アナとの討論が始まりました。ねりくん達早く帰らないから……。
「センテェレングネリート君はどうして感動しないのかな?」読舌アナのバカ丸出しのこの質問。ねりくんは、
「理由なんて分かんないですよ。感動しないから感動しないんです。」と、言いました。すると読舌アナは、
「じゃあ、これを見よ!これを見ればお前も感動する!」と、言って『火垂るの墓』のDVDを取り出しました。ねりくんは、
「ちょっ、これって、感動って言うより『すごくかわいそう』って話でしょ!」と、言いました。すると読舌アナは、
「そうか。じゃあ、これを見よ!」と、言って『フランダースの犬』のDVDを取り出しました。ねりくんは、
「それも感動って言うより『すごくかわいそう』って話でしょ!それにこれ苦手。」と、言いました。読舌アナは、
「苦手か。じゃあこの『フランダースの犬』を無理矢理見せて感動させる!」と言い、『フランダースの犬』の一番悲しい場面をねりくんとひな乃ちゃんに見せました。
「パトラッシュ。ぼくはもう……。」
「…………。」かわいそうすぎて泣いてしまうねりくん。
「むーっ。」見たくないひな乃ちゃんは目を背けて別のこと(TTCVの悪口)を必死に考えていました。
 「やったやった!センテェレングネリートが涙を流した!」読舌アナは大喜びです。ねりくんは、
「あの……、これ、悲しい涙でして、感動の涙じゃないんですけどー。」と、言いました。言わなきゃ良かったと思うのですが。そう聞いた読舌アナは、
「ナニ?!もっと感動するDVDは無いか!」と、スタッフに感動DVDを探させました。ねりくんは、
「やめてくださいよ~。感動したくないんですよー。」と、正直な気持ちを言いました。そしてねりくんは、
「感動したら負けだと思ってますから。」と、言いました。
「?!感動したら『負け』だと?!どういうことだ!話を聞かせろ!」と、読舌アナ。ねりくんの言うには、
「感動したくないだけですよ。24時間テレビを例にすると説明しやすいんですけどね、24時間テレビって番組作る人が『見てる人を感動させてやるぞ』って思って作るわけじゃないですか。『サア感動しろ!』って、番組作るでしょ。俺はそれに対して勝負してるんです。スポーツと同じ。サッカーに例えれば、『シュートするぞ』と『ゴールに入れないぞ』って対決してるのと同じですよ。ゴールが感動なら、俺は感動させないキーパーみたいな者ですよ。上手く説明できないけど、俺は感動のアンチテーゼなんですよ。ただそれだけ。」と、言いました。ひな乃ちゃんは、
「そーだそーだ!その通り!」と、言いました。読舌アナは切れそうになりましたがなんとかこらえて、
「お前ら本当にお似合いのカップルだよ。あのなあ!24時間テレビは人を感動させるために作ってるんじゃないの!世のため人のために24時間テレビやってるの!我々TTCV25時間テレビもそう!我々は田上市の役に立つために25時間テレビやってるの!田上市に幸せを届けたいんだよー!」と、言いました。するとねりくんが、
「あのー、ずっと前から、去年から思ってたんですけど、田上市だけ?TTCVって、大田市とか、品美田村とかでもやってますよね。彼女田上市じゃない所に住んでる人なんですけど。他の村まではきついですか?」と、言ってしまいました。読舌アナは、
「バカバカバカ妖精!そういう重箱の隅をつつくようなことを言うな!TTCVの会社は田上市にあるんだから田上市を重視するのは当然だろ!品美田村とかも忘れちゃいねーよ!バカ!」と、言いました。ひな乃ちゃんは、後ろを振り向いて、
「ねー。TTCVは一般人に『バカ』って言うんですよー。」と、言いました。中にいるスタッフが、
「ちょっとお嬢ちゃん!なんてこと言うの!他の人が聞いたらどうするの!」と、言いました。テレビジョンの画面は、
「しばらくそのままでお待ちください」になっています。ひな乃ちゃんは、
「私も聞きたいことがあるんですけど。」と、言い出しました。読舌アナは、
「なんだよ。聞いてもいいよ。」と、言いました。ひな乃ちゃんの聞きたいこととは、
「これ、どう考えても24時間テレビのまねですよね?なんでTTCVは25時間テレビを放送したいと思ったのですか?これを放送する意図はなんですか?放送する意図とメリットを教えてください。」というものでした。読舌アナは、
「嫌なむすめ~。」と言い、
「お前バカか!世の中の役に立つために放送するんだよ!世の中に貢献できるっていうメリットがあるに決まってるじゃないか!決して会社の私益のためにやるんじゃない!」と怒りながら言いました。ひな乃ちゃんは、
「へー。そーなんですね~。募金集めて貢献するんなら『25秒間テレビ』にして、25秒間だけで時々呼びかけるって言うのはどうですか?ちょっとした提案。これなら感動のアンチテーゼの人もそんなに見ないでせう」と、言いました。読舌アナはとうとうプッツン切れちゃって、
「何が『25秒間テレビ』だ!バカにするな!中学生のくせにテレビ局をなんだと思っているのだ?!我々テレビ局はじめマスコミ様は社会の木鐸(ぼくたく)なんだぞ!」と、言いました。ねりくんは、
「『社会のたくぼく』って何?」と、ひな乃ちゃんに聞きました。ひな乃ちゃんは、
「『社会のぼくたく』ってね、TTCVの場合は、『テレビ局が世の中を良い方に導いてるんだよー』って思いこんでいること。」と言ういじわるな言い方で説明しました。納得するねりくん。読舌アナはもっとプッツン切れちゃって、
「出て行けー!二度とTTCVに来るな!」
「ポイ。」と、ねりくんとひな乃ちゃんを小屋から放り出しました。
「いったあ~。」と、ひな乃ちゃん。
「お尻打った。」と、ねりくん。一般人をつまんで放り出すTTCV!その場面はしっかりお茶の間に映し出されてしまい、インターネットはまた炎上していたのでした。

               その441おわり        その442につづきます






個人的メモ:2018-0912点検済  


Posted by 樹廊 臣 at 04:25Comments(0)小説『中学生も色々と』