2018年09月24日

小説『中学生も色々と』その448

 おはようございます。この記事は予約投稿です。

本日の更新はこの『小説』だけです

 私の作った小説『中学生も色々と』第448話(その448)です。
このお話はフィクションであり、登場する人物、団体、企業、事件等は
実在のものとは一切関係ありません。


樹廊臣物語中学生シリーズ

                   中学生も色々と

             その448「文化祭のビデオ制作」

 ここは田上中部中学校。2018年9月23日日曜日です。行事に燃える組である3年4組は中中祭(文化祭)に展示発表する「魔女の宅急便の巨大壁画」作りを進めています。さて、からちゃんの居る3年6組は?
「中中祭で発表するビデオドラマ、『問題を乗り越えろ』を撮るぞ!」いじめっ子の猪又が言いました。猪又、家にあるビデオカメラを持ってきて、率先して文化祭に向けて取り組んでいるようです。このビデオドラマ『問題を乗り越えろ』は、クラス内でのいじめ問題を乗り越えていくという内容のドラマです。猪又曰く、
「これは完全なフィクション(架空)のビデオです。」とのことです。猪又はいじめ問題の本を買ってきて、それからこのビデオドラマのストーリーを作りました。
「いじめ問題を解決するクラスのストーリーです。」とのことです。
 「よし、今日9月23日はビデオ撮影を開始だ!」休日返上で文化祭のビデオ制作が始まりました。もうすでに配役などは決まっています。主人公はなんと小心太郎!小心は主人公にはなりたくなかったのですが、
「小心が主人公な!命令だ!」と、みんな(主に猪又)に命令されて無理矢理主人公にさせられたのです。猪又、なんか知りませんがこのビデオ制作に張り切っていて、映画監督のようになっています。
「早速撮ろう!まずシーンの最初から行くよ!級長の春田沢さん頼むよ!」と、猪又はビデオカメラを手にテキパキと指示を出します。
「私が最初ー?やだなー。」と言うからちゃん。猪又は、
「最初の場面は級長のお話で始めたいんだよ。春田沢頼むよ。」と、からちゃんに頼みました。からちゃんは渋々承諾しました。
「これを読めばいいんね?じゃあ読むよ。」と、壁に貼られた紙を見ながらのからちゃん。猪又は、
「よーし、撮るぞ!真剣な表情でスタート!」と、言って撮影開始。からちゃんはビデオカメラの前に立ち、撮影されます。
「わたくしは、3年6組学級長の春田沢です。このビデオをご覧の皆様。皆さんの周りにはまさかいじめは無いでしょうね?この中部中にまさかいじめが有るわけはありませんが、世間ではいじめが大きな社会問題になっています。このビデオは、いじめという問題を乗り越えたどこかの学校の一クラスのドラマです。これをご覧になり、どこかの学校で起きているいじめという問題について考えてみてはいかがでしょうか?」からちゃんは紙に書いてあることを読みました。
「カット!良いよう!このシーンバッチリだ!今のがビデオの最初になるからね!」と、猪又は言いました。からちゃんは、
「あほくさ。学校の文化祭なんてくだらなーい!だいたい今日のせっかくのお休みがつぶれちゃったよ。ブツブツ。」と、小さくぼやいていました。そして秀才の金田君が、
「猪又ー。早く終わらせてくれよなー。俺受験勉強しなきゃいけないんだからなー。塾を休んで来てるんだからなー!塾で忙しいんだよー。」と、言いました。猪又は、
「金田、悪いが協力しろよー!文化祭はみんなで作るもんだ。」と、言い、篠口先生は、
「本当に金田には協調性が無くて協力とかクラス団結というものが分かってない!塾よりも文化祭の方が大事なんだよ!」と、言いました。級長の田山君は、
「ワハハワハハ!金田!塾あきらめてよ!ワハハハハ!」と、言いました。からちゃんは、
「金田、あわれな奴。学校行事の犠牲者だ。」と、小さな声で言いました。
 「次のシーン。主人公の小心太郎がみんなからいじめられている衝撃の場面!」猪又が言いました。特別に、普段は立ち入り禁止の屋上に入らせてもらい、屋上で撮影です。中中のこの立ち入り禁止の屋上、教頭先生以上の許可が有れば侵入可能なのです。
「じゃあ、3パートリオ、いじめっ子の役ー!」猪又が指示を出します。
「ニヒラニヒラ。俺達いじめ3人組ー。」と、3パートリオ。猪又は、
「じゃあさー、これからいじめっ子が主人公をいじめているシーンを撮るからいじめている演技してー!」と、指示を出して撮影開始です。
「スタート!」撮り始める猪又。いじめっ子役の3パートリオは、
「オラオラー!運動会が台風で中止になって頭に来てんだよー!台風はお前のせいだー!ふざけるなー!オラオラオラ!」と、主人公の小心をいじめる演技をしました。小心は、
「ぶべらはべら痛いよぉー!ごめんなさーい!えーん!」と、いじめられる演技(?)をしました。それを見た篠口先生は、
「すげー!リアルー!小心演技上手いよー!本当のいじめられっ子のような演技だ!」と、感心しました。小心はリアルにいじめられているのですが篠口先生はいじめのことを知らないのです。
「カット!みんな上手い!いじめる方もいじめられる方もすごくリアルな演技だ!良いようー!このシーンバッチリ!」と、猪又は言いました。日常リアルにいじめが起きていて、それを再現しただけなのですが……。日頃いじめいじめられているのでリアルなのです。それでもいじめに気付かない篠口先生。いつもいじめをしている猪又はこういうテーマを選ぶと言うことは危険な冒険であるということに気付いていないのです。まあ、篠口先生が鈍(にぶ)すぎるので小心へのいじめはばれないのですが。
「なんだかなー。」と、からちゃんはあきれました。
 「うんうん。順調に撮影は進んでいる。みんな上手いじゃないか!」猪又はほくほく顔です。篠口先生も、
「みんな上手で良かった。」と、感心しています。しかし、
「誰かさんには長縄跳びができなくていじめられる役をやってもらいたいもんだ。なー津藤。」と、ひどいことを言いました。なので津藤みほちゃんは、
「キーッ!」と、ブチ切れていましたとさ。
 「よーし!今日はここまでです!けっこう良く撮影できました!続きは明日です!明日は3パートリオからのサプライズでスペシャルゲストの人が来てくださるそうですよ!」と、猪又は言いました。サプライズのスペシャルゲスト????金田君は、
「急げ急げ!塾が~!」と、大慌てで居なくなりました。忙しい人もいるのです。
 翌日、9月24日の月曜日(秋分の日の振替休日)になりました。今日も屋上でビデオ撮影の続きです。
「じゃあ今日は昨日のビデオ撮影の続きです。3パートリオのみんな!スペシャルゲストの女神様は来てくださったかい?」と、言いました。3パートリオは、
「はい!来て頂いてます!こちらの、鳩野ひまり様です!わざわざ苑内中から来て頂きました!」と言い、苑中の制服姿の鳩野さん登場!
「鳩野ちゃん?!」からちゃんは驚愕!クラス一の美人である小高さんは鳩野さんを見て、
「やだ。私よりもきれいな人。」と言い、みんなは、
「何このかわいい人、オリンピックのカーリングの藤澤五月さんみたい!」と、驚いていました。からちゃんは、
「鳩野ちゃん?なんでまたここに?」と、聞くと鳩野さんは、
「頼まれたから。サービスサービス!」と言い、からちゃんは、
「サービス?!」と、開いた口がふさがりませんでした。そして何人かの人が、
「あれ?靴は?」と、鳩野さんの足を見て言いました。そしたら鳩野さん、
「嗚呼!靴履いてくるん忘れてしもうた!苑中の人っていつもはだしで生活してるから!」と言うのでした。猪又は、
「そのはだしすてきだからはだしで良いです!ぜひビデオドラマで、いじめを止める女神様の役をやってください!」と、言いました。鳩野さんを見た篠口先生は、
「かわいくて人の良さそうな子!他の学校には中中には居ないような良い生徒が居るんだな。」と、自校生徒に対して失礼なことを言うのでした。
 「小高、女神様っぽい服は持ってきてくれてあるな。」と、猪又。小高さんは、
「こういうのでいいのかしら?」と、女神様が着るようなドレスを取り出しました。
「金持ちはなんでも持ってるんだなー。」と、驚くみんな。
「えらそうな金持ち嫌な奴。」と、みほちゃん。過去に小高さんとケンカしたのでみほちゃんと小高さんとの仲は一生険悪なのです。とにかく撮影開始。
「主人公がいじめっ子から『屋上から飛び降りろ』と、脅迫されるシーン!スタート!」と、ビデオで写す猪又。着替えて女神様になった鳩野さんはそれを見て、
「中中っておそろしいことするんね。」と、言いました。篠口先生は、
「まさか!これは架空のやらせだよ!」と、言いました。鳩野さんは、
「あの主人公?まさかいじめられてるんじゃないですよね?」と、篠口先生に言うと、
「我が校にいじめなんてありません!」と、篠口先生は力強く言いました。鳩野さんは、
「良かった。もしも本当にいじめられてるんだったら助けねばいけない。」と、言いました。内心ヒヤヒヤだったからちゃんは、
「鳩野ちゃんにいじめが知られなんでよかった。」と、胸をなで下ろしました。鳩野さんをも巻き込んだ文化祭のビデオ撮影は10月の休日も続き、やがて完成します。この3年6組のビデオドラマ発表は11月3日の文化祭の時に出ます。

                その448おわり        その449につづきます





個人的メモ:2018-0922点検済  


Posted by 樹廊 臣 at 04:25Comments(0)小説『中学生も色々と』