2018年09月19日

小説『中学生も色々と』その445

 おはようございます。この記事は予約投稿です。

本日の更新はこの『小説』だけです。
先日のバスまつりも記事にしたいとは思っていますので、
期待せずにお待ちください。

 私の作った小説『中学生も色々と』第445話(その445)です。
このお話はフィクションであり、登場する人物、団体、企業、事件等は
実在のものとは一切関係ありません。


樹廊臣物語中学生シリーズ

                  中学生も色々と

             その445「苑中管弦楽部音楽会」

 2018年9月9日日曜日には苑内地区にある苑内西洋芸術館という所で苑中管弦楽部の発表会が行われます。
「今年は9月9日に管弦楽部の発表会やるんでお里さん達、ぜひ聴きに来てください。」管弦楽部の鎌霧くんはお里さん達他校の人に言いました。
「そっか。聴きに行ってあげる。」と、お里さんが言ってくれたので鎌霧くんは大変喜びました。同じ管弦楽部の五十嵐咲紀さんは、
「音楽部の3年生が引退するのは11月4日の木苑祭(もくえんさい)(苑中の文化祭)で最後……。あと2か月か。」と、言いました。音楽部の引退時期が迫ってきているのです。理科の学研究会のこでなず部長さんも11月の文化祭で引退になります。その後に待っているのは高校受験です。
 今日は9月8日土曜日。田上東中で登校拒否して休日に苑中にやってくる日暮紅子さんは苑中管弦楽部発表会について、
「あー。苑中の管弦楽部発表会。いいな。私は東中の管弦楽部にいたけれど、いじめられて部活どころじゃなくなっちゃったから……。」と、言いました。鎌霧くんはたいそう紅子さんを心配しました。そして、
「もし良かったら、9月9日の管弦楽部発表会、聴きに来てみない?苑内まで田上東中の人は、野子さんぐらいしか来ないと思うよ。だから何もされないし。」なんて言いました。紅子さんは、
「聴いてみようかな?」と、思いました。そして鎌霧くんと五十嵐さんが、
「午後の管弦楽部の練習見学に来ない?」と、言ってくれたので覗きに行ってみることにしました。ちなみに現在の時間はお昼休み時間でした。鎌霧くんは教室でテレビジョンを見ていたねりくんに、
「ねりくんは発表会来てくれるよね?」と、聞きました。ねりくんは、
「うん。行く行く!」と、言っていましたが目はテレビジョンに向かっていました。
「ねりくん、なんのテレビに夢中になっているんよ?」と、鎌霧くん。ねりくんは、
「今日から、TTCVで『25秒間テレビ』ってのが始まるん!それがこれから始まるんだけど、どういう内容か見たい!25時間テレビみたいな内容かもしれない。」と、言いました。
「『25秒間テレビ』?何それ?感動とかやるの?」と、紅子さん。ねりくんは、
「どういう内容かは俺も分かんない。」と言いました。そして『25秒間テレビ』始まり!
「本日から25秒間テレビが始まります!この25秒間テレビはチャリティーで、助け合い運動などを毎日25秒間呼びかけていきます!TTCVでも募金を集めますのでぜひご協力ください!あっ!もう時間がないまた明日~」テレビジョンには、25時間テレビのチャリTシャツを着た読舌社長兼アナウンサーが出てきて言っていました。
「25秒間テレビって何……?」と、紅子さん。
「25時間テレビよりも内容的にはまともだね。」と、ねりくん。
「なんだかな~。TTCVっていったい……。25時間テレビで懲りてないの?」と、鎌霧くんは言っていました。
 まだ、練習が始まる前に鎌霧くんと五十嵐さんと紅子さんは管弦楽部が練習する音楽室に行ってみました。
「わー。ビオラだ!いいなあ!」と、紅子さん。そのビオラを担当する2年生の子が貸してくれるというので紅子さんは大喜びで弾いてみます。
「久しぶり!私昔ビオラ担当だったんよ!いい感じ!懐かしい!」紅子さん、なかなか上手に弾いています。
「紅子さん、上手!」鎌霧くん達は感心し、紅子さんは、
「ありがとう!高校行ったら管弦楽部に入りたくなったわ。明日の発表会には行くからね。」と、言っていました。
 さて、翌日の9月9日日曜日です。ここは苑内西洋芸術館です。これから苑中管弦楽部の発表会がおこなわれます。ちなみに入場料は無料。いつもの面々が来ました。紅子さんも来ました。
「鎌霧くんが『聴きに来てください』と言いましたから来ちゃいました。」と、中之森野子さん。紅子さんは、
「中之森さんは今でも東中でいじめられているのだろうか?」と、思いましたがそうっとしておいてあげました。その後ろで、
「今日は鎌ちゃんの演奏を聴いてあげよう。」つきくんはちょっと上から目線で言っていました。それを聞いたお里さんは、
「私も聴いてあげようと思って来た。」と、笑って言いました。
 発表する大ホール観客席に入ります。紅子さんは、
「私は一番後ろが好きなんで。」と、みんなから離れた所に座りました。理由はあとで。
「けっこう人が来ているね。」と、からちゃん。
「近所にお住まいの人がけっこう来るからね。」と、こでなずさん。こでなずさんの横ではひな乃ちゃんとねりくんが「おひな様とおだいり様状態」になっておりました。
「ねりくんと梅鉢さんってなんなんだろ……。」上の席から見ている紅子さんはあきれていましたが。
 「ズンチャッチャ。」(こんな音ではないか?)とにかく始まりました。司会は管弦楽部部長さんと副部長さんです。両方とも3年生の女の子です。
「私達苑内中学校管弦楽部は9月現在、1年生11名、2年生11名、3年生14名の総勢36名で頑張ってきました。今回は管弦楽部単独の発表会です。10月には吹奏楽部との合同演奏発表会をこの場所でおこないます。そして、11月4日の苑中文化祭、『木苑祭(もくえんさい)』での発表をもちまして、3年生は引退となります。こんなに多くの方に来て頂きまして、とってもうれしいです。」部長さんは言いました。
 「ズンチャッチャ。」管弦楽部が一生懸命練習した成果が披露されます。紅子さんは、
「苑中管弦楽部すごいな。イイ感じ。」と、思いました。苑中管弦楽部の演奏、「勝ち負けにこだわらず楽しんでやる部活」のわりにけっこう上手いのです。(今回のこの演奏はコンテストなどの勝負をしていないので勝ちも負けも無いのですが)管弦楽部がある中学校自体が少ないというのもありますが、7月にあったコンテストでは結構いい所まで行ったそうです。
「苑中管弦楽部、けっこう上手いじゃないか。」紅子さんはそう思います。紅子さんは登校拒否する前の田上東中で管弦楽部でビオラの演奏を頑張っていたのでそれを思い出しました。少し涙が出ました。田上東中管弦楽部のことを思いだしたのです。
「そう言えば昨日の9月8日は私が入っていた東中管弦楽部の発表会だったんだ。市役所の裏のホールで発表したはずだけどどうだったんだろう?顔出すわけにもいかなかったから行かなかったけどどうだったんだろう?うまくいったのかな?私がはずれたビオラのパートはどうなったんだろう?」と、紅子さんはかつての部活のことを思いました。涙が流れてきます。
「私も管弦楽続けたかったな……。だけど、いじめられて部活出来る状態じゃ無くなっちゃってやめるしかなかった……。修学旅行で吐かなきゃこんなことにならなかったのに……。なんで私吐いちゃったんだろう?……悲しい……。いじめに管弦楽取られた!」紅子さんは泣きました。多分泣くだろうなと思っていましたが本当に泣いてしまいました。こんなふうに泣くことを予想できていたのでみんなの近くに居ることは出来ないのです。
 「ママー。あのお姉ちゃんなんで泣いてるの?」と、幼児が紅子さんに指を指しました。その子のママは、
「しっ。見ちゃいけません。」と、言いました。小さな子供も聴きに来る苑中管弦楽部発表会でした。紅子さんは幼児に指摘されても涙を止めることは出来ませんでした。
「どういう理由で泣こうと私の勝手よ!とにかく私、管弦楽続けたかった……。だけどいじめで全部ダメになった。中之森野子さんは『登校拒否する度胸がない中之森』だけど、どうして毎日ひどくいじめられているのに登校できるのよ?!私なんて学校行く度胸無いのに!」と、思いながら紅子さんは泣きました。中之森野子さんが登校できる理由は、親御さんが恐いからです。(野子さんの親は不登校を許してくれない)野子さんの場合は親に怒られるよりも学校に行っていじめられた方が楽なのです。紅子さんの親御さんは野子さんの親御さんよりも甘いのです。野子さんの親は厳しいのです。
 「これでおわります。ありがとうございました。」良い感じで苑中管弦楽部発表会は終わりました。
「ああ。よい演奏だった。」音楽が分かるねりくん。
「ああ。よい発表会だったね。」音楽が分かっていないけどそう言う鳩野さん。音楽が分からない人からすれば良い演奏でした。音楽のことが分かるねりくんも良い演奏だったと思ったので本当に良い演奏だったようです。
「成功して良かったネ!」顔を合わせる鎌霧くんと五十嵐さん。だけどその頃紅子さんは、泣き顔を見られないようにこっそりと一人自転車で帰宅し、
「管弦楽出来る高校に行きたい!」と、泣きながら思うのでした。

               その445おわり        その446につづきます





個人的メモ:2018-0918点検済  


Posted by 樹廊 臣 at 04:25Comments(0)小説『中学生も色々と』